御社は大丈夫?企業経営の残酷な事実

 ここ数年、企業にとって採用活動は難しい状況が続いています。せっかく高い採用費をかけてエージェント経由で新規採用をしたものの、すぐに退職してしまったという経験はありませんか。実は、従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産である「人手不足倒産」は近年急増しています(※1)。人口減少が叫ばれる中この傾向は今後も続いていくでしょう。企業が存続・成長することを求める限り、社員の雇用は常に考え続けなければならない問題であると言えるでしょう。

 

「最低限度の生活」を提供できない会社に人材は集まらない

 雇用が大事ということが分かったうえで、今度は働く人に目を向けましょう。

 まずは求職者の方々の動向についてです。新入社員の入社理由や転職理由についての記事がたくさんあるように、求職者が働く会社に求めることは多種多様あります。しかし、その中でも共通しているものは2点あります。それは「お金」「時間」です。どれだけやりがいのある仕事だとしても生活ができないほどの低賃金で続けられる人はおりませんし、慢性的な残業・長時間労働のある環境では仕事の成果も出せず精神も消耗してしまいます。ニュースで働き方改革や最低賃金引上げの論調が強まる中、「最低限度の生活」を提供できない会社には人が集まるはずもありません。

 

既存社員の待遇アップもコストはかかる

 スキルがあり長く安定して働いてくれる人材は当然欲しいものですが、この売り手市場の中で、良い人材を新たに確保することは非常に大変です。そこで視点を既存の従業員に向けてみましょう。

 既に派遣やパートで契約している従業員を正社員に登用する方が、安定した採用が出来るのではないでしょうか。これなら非正規であることによる不安定感を払拭し、好待遇な他社に転職するリスクを低くできそうです。ただし、正社員への契約変更はどうしても変更前後で賃金の差が生じます。経営者としては、その差をどうやって埋めていくか気になるものです。経営者の皆様にとって賃金アップ=人件費の増大というのは正直大変ですよね。

 増益のために人員を確保したいものの、人員を確保するためにかかるコストがかかってしまう…そういったジレンマにお悩みではないでしょうか?

 

「人材」と「お金」をどちらも獲得する方法

 この状況を打開する方法を、なんと厚生労働省が用意しています。それは「雇用関係助成金」と呼ばれる企業向け給付制度です。

 雇用関係助成金とは、国が徴収する雇用保険料を財源とし、雇用の安定や従業員の働きやすい環境を各企業が積極的に整備できるように援助する仕組みです。簡単に言えば、昨今叫ばれている「働き方改革」を推進する制度を導入すれば企業はお金が貰えるのです。

 人材採用に関して言えば、残業削減を目的として新規採用を行えば最大750万円受給できる働き方改革支援コースや、有期社員を正社員登用していくと最大1,440万円貰える正社員化コースが比較的簡単に取り組めますのでおすすめです。

 このように、助成金を活用すれば、企業にとっては安定した人材の確保が出来、また労働者にとっては待遇の改善が図られるという労使双方に対してwin-winな状態に改善することが可能です。助成金は受給条件を満たしさえすれば、申請すれば確実に受給でき、受給したお金は返済する必要もなければ使用用途も自由という大変お得な制度です。なかなか認知度が低い現状ですが、国を挙げて取り組んでいる制度なのでぜひ活用しましょう。

 

助成金のデメリットは?

 とはいえ、助成金にはメリットばかりではなくデメリットも存在します。ここでは4つご紹介します

 

①受給できる企業に条件あり

「どんな企業でも助成金を受給できるのか?」と言われると、残念ながらそういうわけではございません。

今回ご紹介した雇用関係助成金については、以下の条件を満たす企業にのみ申請することが可能です。

⑴雇用保険・社会保険に加入している事業所

⑵従業員の1年以上の在籍

⑶半年以内の会社都合の解雇が無い

⑷残業代未払いなどの労務違反が無い

 この条件を設けられている背景としては

⑴財源が雇用保険料

⑵雇用している従業員の労働環境を良くする目的 

の2点があります。つまり、雇用保険を払っていない会社に上げられるお金はございませんし、法律すら守れない状況の企業が助成金を受けたところで労働環境を改善できる見込みもありません。そもそも従業員がいない個人事業主では、労働環境を提供する「労働者」がいないため受給はできません。なお、事業主のご家族や役員といった方々は労働法で言うところの「従業員」には含まれないため、その方々しか在籍してない企業も受給申請はできません。

助成金申請のスタートは「法律を守った状態で雇用保険・社会保険に加入している従業員を雇用すること」であると覚えておきましょう。

 

②申請したらすぐ受給できるわけではない

 弊社にご相談いただくお客様に多い質問が「申請したらすぐ貰えるの?」という内容ですが、残念ながら受給時期は申請から1年以上はかかるものです。中には3年かかるコースもございます。理由としては、申請した後は実際の採用や制度導入があることをある程度期間をおいて記録しなければならなかったり、そもそも受給条件を満たしている企業なのかどうかの国からの調査が入るなどといった事情があります。よく「お金欲しさ」に助成金を申請しようとしている企業様がいらっしゃいますが、受給に時間がかかるうえ、制度導入や新規雇用などは当然お金がかかってきます。お金メインで考える場合助成金はそぐわない可能性がございます。

 

③助成金の種類が多すぎて調べられない

いざ助成金を申請しようと思っても、結局自社にどんな助成金が合うのかを見極められず申請に至らないケースが多いです。助成金コースは厚生労働省のページ(※2)に掲載されていますが、見ていただくとわかる通り何十種類というコースが記載されております。これらすべて①の申請条件に加えて受給条件があり、受給金額も受給時期もすべて異なってきます。さらに厄介なことに、雇用関係助成金の内容は毎年4月にアップデートされます。もちろん前年度と変わらないコースもありますが、新たなコースが新設されたり、コースの受給金額や条件が変化したり、コースが廃止になったりと様々です。このアップデートは社労士ですら事前通知がなく、あらかじめ来年度の新コースに備えるということもできません。

④助成金申請業務がとにかく面倒

助成金における申請には2種類ございます。「計画申請」と「受給申請」の2種類です。管轄の労働局に対して「この助成金コースを受けます」というときに提出するのが「計画申請」、コースの計画内容実施後、労働局が確認し受給可能となった際に、助成金を受け取るために行うのが「受給申請」という理解で大丈夫です。どちらの申請も共通するのが

⑴作成・提出しなければならない書類が多い

⑵提出期限が厳しくスケジュール管理が必須

⑶労働局の方と面接などのやりとりが発生する場合がある

という面です。助成金は確かにしっかり申請すればお金を貰えてお得です。しかし、申請業務をしっかりできずに再提出を繰り返したり、申請業務に本業の時間が奪われ本末転倒な事態に陥り、費用対効果が合わないということで諦めることが多いです。

 

助成金申請は「社労士に依頼」が確実

 以上のように、助成金は会社にとって大変お得な一方、やらなければならないことがたくさんございます。この「助成金をやるための業務」が数多く存在することで、受給に至る会社が少なく、厚生労働省も積極的に案内しないことも相まって、助成金の認知度もかなり低い状態です。

 そんな中で確実に助成金を受給できる手段がございます。それは「社労士に申請代行を依頼する」ことです。

 社労士に代行依頼する場合の流れをお伝えします。まず、会社がどんな助成金を申請すべきかを企業の状況を聞き助成金コースを提案します。申請業務についても基本的には企業の賃金台帳・出勤簿・雇用契約書などの書類と申請したい助成金コースを伝えれば、その他の必要書類の作成や管轄の労働局への郵送、スケジュール管理をすべて行います。上記のように。助成金については国(厚生労働省)は積極的にアプローチしてくることはありませんので、そもそもどんな助成金があるのかを周知することもなく(問い合わせれば答えてくださります)、申請業務もよほど慣れている方でなければ大半が失敗します。提出書類を作成しなければならず、提出期限を超えてしまえば申請できなくなってしまうからです。

したがって、いままで助成金申請をしたことが無い方や、申請業務の手間を無くしたい方は社労士法人に申請代行を依頼するのがおすすめです。本記事を執筆している株式会社jinzyも、グループ内に助成金に特化した社労士法人がございますので、まずはお気軽にご相談ください。

※1 帝国データバンク「人手不足倒産」の動向調査(2013~18 年)参照

※2 事業主の方のための雇用関係助成金